「おすすめしたい本ができた」Googleアナリティクスの達人、小川卓&野口竜司両氏に新刊インタビュー

ウェブ担当者の皆さん、Googleアナリティクスを理解して使えていますか? 翔泳社では6月12日(金)、データ分析のプロフェッショナルである小川卓さんと野口竜司さんによる『達人に学ぶGoogleアナリティクス実践講座』を刊行しました。「なんとなく使っている」方には一歩も二歩も進んだ使い方ができるようになる本書、著者のお二人が自信満々にお届けする理由とは?

Googleアナリティクスで「目標設定」をしていない方は必読!

達人に学ぶGoogleアナリティクス実践講座
達人に学ぶGoogleアナリティクス実践講座
売上に貢献するデータ分析がわかる7つのレッスン

著者:小川卓、野口竜司
出版社:翔泳社
発売日:2015年6月12日
定価:2,600円(税別)

目次

  • 1章 基礎編 目標とKPIの設計
  • 2章 基礎編 計測を始めるための準備
  • 3章 基礎編 基本的なメニューと用語
  • 4章 基礎編 よく使う4つのレポート
  • 5章 応用編 セグメントで顧客を分析
  • 6章 応用編 【目的別応用リファレンス】ユニバーサルアナリティクスから高度な分析まで
  • 7章 応用編 すぐに活用できるレポート作成のコツ

Googleアナリティクスを「理解して」使えるようになるために

――Googleアナリティクス(以下GA)などを使ってウェブサイトの改善活動などを行っている小川卓さんと野口竜司さんに、新刊『達人に学ぶGoogleアナリティクス実践講座 売上に貢献するデータ分析がわかる7つのレッスン』についてお話をうかがいます。

 初めにお二人を紹介します。小川さんはウェブアナリストとしてリクルートやアマゾンジャパンなどで勤務され、デジタルハリウッド大学大学院の准教授でもあります。野口さんは日本最大規模のGoogleアナリティクス専用部隊を保有するイー・エージェンシーのマーケティング・サービス開発担当の取締役です。GAに関してお二人以上の著者はまず見当たらない「達人」ですね。

 ではまず、GAの解説本が多くある中で、本書をどういった内容にしようと考えていたのか教えていただけますか?

小川:いろんな方向性がありますが、シンプルに誰でも分かる類の本を考えていました。ですが、それだけだとGAの活用にまでは至りません。操作と機能が分かるようになるだけです。実際、GAの解説本はなるべく対象読者を広く想定して、GAを触ったことのある人全員向けにするために、機能の説明だけをしているものがけっこうあります。

そうした流れの中で、木田和廣さんの『できる逆引き Googleアナリティクス Web解析の現場で使える実践ワザ240』(インプレス)は、GAをある程度使いこなしている人を対象にしていて、いい本だと思いました。このように読者を絞るという方向性もありますよね。

小川卓さん
ウェブアナリスト・小川卓さん

 本書はあえて前者に焦点を合わせて、「GAを使い始めた人が目標達成のために、GAを理解して使えるようになる」という内容にしました。類書との差は充分に出せると考えましたので。私は目標とKPIの設定に関する章と、GAを活用したレポート作成についての章を担当しました。

野口:私と小川さんは翔泳社のMarkeZine Academyで講座をいくつか持たせていただいていて、GAの講座もまさにいま行なっています。また、私が取締役を務めているイー・エージェンシーでも、GAのトレーニング講座をやっています。

講座で人に教えていると、だんだん初心者の方がつまずくところが分かってくるんですよね。結局は基礎がないといけません。でないと応用もできないので、そこを重点的に書きました。例えばカスタムレポートを作ろうとしても、指標とディメンションという用語を120パーセント理解していないと、なんとなく作ったものになってしまいます。ということで、私はGAの使い方や用語についての章を担当しました。

特に「3章 基礎編 基本的なメニューと用語」はその後の応用編を読むために不可欠です。ここを理解して、どんな質問にも答えられるようになったら、ようやく4章へと進むことができます。いま世の中にある解説本では触れられてはいても、掘り下げられてはいないところですね。

アップデートでうろたえないための基礎力を身につける

――GAはアップデートが早く、使いこなせている人は常に少数なのではと感じています。アップデートに追いついて使いこなせている人は増えているんでしょうか。

小川:利用者数はここ数年で大きく伸びたと思いますが、使いこなしている人の絶対数は、それにまだ追いついていないのかなと感じています。また、すべてのレポートや機能を使いこなす必要はないかなと考えています。

まずはサイト全体の傾向や、キーワード・ページなどがどうコンバージョンに影響を与えるかなどを分析するところからスタートするのがよいかと感じています。分析上、必要であれば「アトリビューション」や「カスタムディメンション・指標」の利用を考えましょう。大切なのはすべてのレポートを覚えるのではなく、データの構造や基本的な考え方を理解しておくことです。これらは、野口さんが担当された章で説明がしっかりなされています。

自分の業務で必要になったとき、より適切な機能があると気づければ充分です。最初からすべて理解して使いこなすというのは不可能ですね。かくいう私も、最新のアップデートに完璧についていっているかというとそうでもない(笑)。必要であれば使う、という感じです。

野口:アップデートといえば、ちょうどユニバーサルアナリティクスという新しいバージョンに切り替わる節目の時期ですね。

小川:ちょうど移行期ということで、今後大切になってくる部分です。本書でも、ユニバーサルアナリティクスについて詳しく説明がなされています。

野口:本書のカバーにも「ユニバーサルアナリティクス対応」と書いてありますが、本書の価値はアップデートでは揺るぎません。たとえGAがどれほど進化しても、基礎は変わりませんから。

GAの使い方を学ぶよりも先に、目標とKPIを設定することが重要

――「売上に貢献する」という言葉がサブタイトルにありますが、「いくら売り上げる」という目標を決めて、そのためにGAをどう使えばいいのかというのが肝なんでしょうか。

小川:本書で最も、読者が考えないといけなく、難しいと感じてしまうのが「1章 基礎編 目標とKPIの設計」かもしれません。ただ、GAをしっかり活用するのであれば、避けて通れないので、1章にもってきました。

野口:目標や目的意識は絶対に必要です。ですので、戦略的な話が書かれています。

小川:残念ながら、目標設定をしていないGAのレポートはたくさんあります。これをしないとレポートの結果がいいのか悪いのかという判断もできないのにですよ。

野口:目標と結果に差があると分かれば、その差を埋めるためにどうすればいいのか、という次の一手を考えるためにもGAを使いきることができるわけです。

――目標とKPIを設定してやっと、じゃあGAを使いきろうということになるわけですね。

野口:そうです。「4章 基礎編 よく使う4つのレポート」は初心者がまず押さえておきたい項目の順になっていて、これを見ておけばサイトのことがだいたい分かるということを解説しています。4つのレポートとはユーザー、集客、行動、コンバージョンですね。実例数値も用意した分析のワンポイントも書いているので、この章だけでベーシックな用途には間に合います。そのあとに、例えばセグメントを使ってみるなど、特別な用途も使えるようになるはずです。

野口竜司さん
株式会社イー・エージェンシー取締役・野口竜司さん

小川:本書を1度読んで理解するのはきっと難しいと思います。本書とGAを行ったり来たりしながら、少しずつ自分ができることを増やしてもらいたいですね。

野口:そうですね。「6章 応用編 【目的別応用リファレンス】ユニバーサルアナリティクスから高度な分析まで」は初心者の方にはすぐ使える内容ではないかもしれませんが、頭の片隅にでも留めておいてもらって、いざ必要となったときに読み返してもらえるとよいと思います。GAでこれだけのことができる、ということを書いていますので。

ようやく初心者におすすめできる本ができた

――先ほど木田さんの本を紹介いただきましたが、初心者向けの解説本で、いままで読んでよかったものはありますか?

小川:GAの初心者向けという意味では、たくさんの本が出版されてきました。どの内容もわかりやすく、参考になります。私自身、「どのGA本がおすすめですか?」と聞かれることがあるのですが、最新の本を紹介することが多いです。

というのも、GAは仕様や機能の変更が多く、数年前の本が参考にならないこともあるからです。

今回、GAの本を野口さんと一緒に出させていただくにあたり、大切にしたかったことがあります。それは、GAの使い方や考え方はもちろん、GAを使うためのインプットとアウトプットをしっかり押さえるということです。そこで、GAの部分は専門家でもある野口さんにお任せし、前後を固めるという部分を担当しています。

野口:私はこれ1冊でほかにはトレーニングも必要ないという本を作りたかったんです、そういう本がなかったので。実際に、本書は思いどおりに作れました。本書があれば、初心者向けの講座やセミナーはもう受けなくてもいいのではと思ったりもします(笑)。

――本書はどういった読者を想定していますか?

小川:ウェブ担当者になったばかりの人や、GAをとりあえず入れたはいいもののPVしか見ていないような人が対象です。イメージとしてはGA歴2年以内の、なんとなく使っている人ですかね。あとはGAで「目標設定」をしていない方には、ぜひ読んでいただきたいです!

野口:もしくは、GAを導入して3、4年経つけれど、一連の操作だけを覚えていて、いつもだいたい同じ項目の数字を「なんとなく」見ている、という人ですね。基本的なところは分かっていると思うんですが、本書で解説する用語をきちんと理解すれば別の使い方、見方を改めて知っていただくことができるはずです。「なんとなく」を解消するだけでも視野は大きく広がりますからね。

小川:読んだ人はGAに関する質問に自信をもって答えられるようになると思います。居酒屋で隣の人にいきなりGAのことを訊かれても大丈夫です。こういう使い方できるよ、こういうレポートあるよ、という感じで。

――GAから恋が生まれるかもしれませんね。

小川:そうそう、コンバージョンしてもらって(笑)。

野口:エンゲージメントですね(笑)。

小川:冗談はさておき、本書さえ読めば、社内でGAでの分析を任せてもらえる存在になれるでしょう。GAを使う人の地位向上に繋がれば嬉しいですね。

データ分析のオートメーションが進んだとき、人が介在する価値とは

――データ分析の道具はとても便利になっていますが、使う側がうまく使えないと成果に繋がりません。GAの登場当時は「さてどう使おうか」という人ばかりでしたが、いまはGA職人のような人も現れつつあります。

小川:いよいよ、という感じですね。ようやく多くの人に行き渡った状態ですし、次はGAを施策に活かすというフェーズだと思います。ただ、正直に言うと、もう分析はしたくありませんね(笑)。いまマーケティングオートメーションの流れが来ていますが、もっと発展してもらいたい。そうなればツールを人が使う必要はなくなるので、解説本も必要ありません。

4月にWACULが提供を始めた「AIアナリスト」というツールは、GAのデータを分析対象として連携できるんですよ。まだまだこれからではありますが、課題のページを全部ピックアップして、これを改善できたらコンバージョンが上がる、と提示してくれます。詳しい使い方はブログに書いたのでぜひ(ログを自動分析し改善箇所を提案する「AIアナリスト」を使って、話を伺ってみた)。

とはいえ、データ分析の将来性にはいくつか方向があります。AIアナリストのようにツールが自動的に分析して提案してくれる方向と、いくつかの解析サービスやデータマイニングツールのようにものすごく高機能でがんがん分析できるようになる方向です。

野口:GAにはインテリジェンス イベントという変化を予測する機能がありますよね。AdWordsには「このユーザーはいいユーザーだと思います」と教えてくれる機能もありますが、GAも今後は生のデータだけでなく料理したものを提案する機能が増えるのではと思います。

小川卓さん、野口竜司さん

――仮にオートメーションが発展したとき、アナリストはどのように介在すればいいのでしょうか。

小川:分析そのものの業務は大きく減るかと思います。また、コンテンツやクリエイティブの作成なども、結果をもとに最適化されやすくなるかもしれません。しかし、分析と施策を繋げる部分に関しては、より重要性が増すのではないでしょうか。分析と施策を、経験とビジネスの理解から繋いでいく。そういった業務が増えていくのではないでしょうか。

野口:前提や例外といった初期の環境設定は人がやらないとダメですね。目標とKPIの設定は各業界や各企業によって異なりますから。

小川:入口と出口は人がやらないといけません。入口とはつまり、何のためにこのサイトを運営しているのかを考えることです。出口は、分析と施策から得られた事実などをもとに、ビジネスをどちらの方向に伸ばすかという舵取りや判断です。

野口:もちろん本書ではGAというツールを何のために使うのか、分析の結果をどう活かすのか、というところをきちんと押さえてあります。

マーケティングオートメーションでできないことが事業の価値となる

――自動化ツールの話は多くありますが、データをもとに自動的に改善施策をやるとすると、同じツールを使っている他社と似たような施策をやるだけになってしまう気がしています。事業の価値は他社との差異にあると思いますが、結局それを生み出すことが人の介在する意味なのかなと感じています。

小川:おっしゃることは非常によく分かります。マーケティングオートメーションの特徴はデータを活用して、最適な判断や施策を行なっていくところにあります。

しかし、これはあくまでも投入したデータや仮説によってしか結果を導き出せないということです。新しいコンテンツや機能か何かを導入しようというときにはデータがないので、ツール側では最適化しようがないんです。「こういうコンテンツあればいいよね」と考えて作れるのは人だけですね。導入の結果は当然分析できますが、そもそも何を導入するかは、ツールではいまのところ決められません。

野口:同業他社との差別化でいうと、その企業しか持っていないユーザーのデータ(たとえばCRMデータなど)のインポートが重要ですね。あるユーザー層について、B社という競合においては重要ではなくても、自社にとっては最も大事なお客さんであることは多々あります。ですので、データ分析する際は自社の価値観における重みづけをするのがいいでしょう。

小川:例えば、BtoBでいえば、すでに契約している人の訪問とまだ契約していない人の訪問を同じと考えてよいのか? こういった判断や重みづけは人間が行なったほうが、現段階ではより適切な判断ができるのではないでしょうか。

野口:企業ごとにビジネスゴールがあり、それを達成してくれる顧客群があります。その人たちに対して適切なおもてなしができるかどうかが差になってくると思います。極力自動化できるところはやりきってしまって、そのあとどこに人的コストをかけるのか考えるべきですね。

小川:5年後くらいにはそういう世界にかなり近づいている気がします。分析業務は減りますが、付加価値の高い業務は残るでしょう。

――GAの話から分析の自動化に話が進みましたが、お二人の認識は共通されていますね。本日はありがとうございました。

 実は本書やGAに興味がある方に向けて、6月30日(火)に参加無料の刊行記念セミナーを開催いたします。本書を一読してお越しいただくと、より理解が深まるでしょう! 下記ページをご覧のうえ、お申し込みください。小川さん、野口さん、MarkeZine編集長の押久保だけでなく、日本でCAO(Chief Analytics Officerとして活躍されているあの清水誠さんをスペシャルゲストにお迎えします。

データ分析の達人×MarkeZine編集長! 『Googleアナリティクス実践講座』記念セミナー開催

奥深いデータ分析の世界へようこそ

小川さんと野口さんは以前にも翔泳社からデータ分析の本を出版されています。名前を連ねる『LIVE! アクセス解析&Webサイト改善 実践講座』、『Live! ウェブマーケティング基礎講座』は、人気講師陣の講義を書籍化したもの。ウェブマーケティングを始めたばかりの方だけでなく、もっとデータを活用したい中級者以上の方にもおすすめです。

お二人はMarkeZine Academyでも多数の講座を受け持っておられます。本書だけで充分と野口さんはおっしゃいましたが、もっと学びたい方は講座も受講してみるのもよいかと思います。つまずいたところ、疑問に思ったところを直接質問することができますからね。

もし本稿で分からないGA用語が一つでもあれば、ぜひ本書を手に取ってみてください。本書は2人の達人のお墨付きで好評発売中です。
※MarkeZine参照





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