広告でファンを育てる 潜在的な興味引き出せ

インターネットのメディアをマーケティングの観点で分けると大きく2つに分類される。広告主として企業が自ら所有するホームページや電子商取引(EC)サイトなどが「オウンド(所有する)メディア」、もうひとつが企業が広告を出稿するポータルサイトような「ペイド(広告料を支払う)メディア」だ。

これらメディアを使って、企業や商品に対する潜在顧客の注意を引き、興味を持たせて、購買欲求を高め、購買させる仕掛けをつくるのが企業のマーケティング担当者の仕事だ。ペイドメディアであるポータルサイトなどへの広告は「注意を引く」役割だ。広告をクリックしたユーザーがオウンドメディアである自社サイトを訪れ、詳しい情報や興味を引くコンテンツを提供し、閲覧者を購買者に「育成する」ことが大事になる。

しかし、テレビのコマーシャルに代表されるマスコミュニケーション時代から、この「注意を引く」という仕掛けと「育成」という仕掛けの間には大きな溝が存在していた。インターネットを活用することでペイドメディアでも「育成」ができないだろうか――というのが、これまでの命題だった。

オウンドメディアでは、サイト閲覧者の行動分析の結果、異なるコンテンツを見せ、カートに商品を入れた人や見積もりをとった人に注意を促すなどの育成が盛んだ。だがペイドメディアでは何度訪れても同じ広告が出てくる。1度目と2度目に異なる広告を出すことができれば育成になるが、そんな仕掛けはない。

そこで注目されているのが新しいシステムだ。「データマネジメントプラットフォーム(DMP)」と呼ばれる広告システムを使えば、オウンドメディアの訪問者の行動分析を広告に反映できる。DMPが持つデータに照らすと、ある程度ユーザーのプロフィルもわかる。これを使えばペイドメディアでも訪問者の興味をリアルタイムで分析、広告に反映できる。

DMPはインターネット広告のもうひとつの問題点も克服する。インターネットは潜在顧客に直接接触できることに価値がある。広告メディアとしてのインターネットが拡大してきた理由はこの一点にある、といっても過言ではない。

米グーグルのサービスの利用者は、まず検索を使う。検索するキーワード、つまり興味や関心事が打ち込まれるわけだから、その言葉に準じた広告が表示される。現在利用されているすべてのリスティング広告(検索結果に連動して表示される広告)は、この考え方に準じている。

しかし、潜在顧客の中には企業や商品を全く知らない人たちもいるだろう。興味や関心のない人にも、潜在的な興味を注意喚起することも広告の役割のひとつだったはずだ。従来のマスメディア広告の得意領域なのだが、インターネット広告がここをスキップしてしまっていいのだろうか。

とある欧州の高級車の主要顧客は、いわば「ちょい悪おやじ」だ。このメーカーが新車を出せば、この層には確実に響く。しかしメーカーは18歳から30歳という、この車の名前を知らない若い層にも魅力を知ってほしいと考えている。

そこでDMPを使って、興味を持っていない人・持っている人を区分けし、両方にリーチするために内容が異なる動画広告を各媒体に流す。広告からサイトを訪れて最初に出てくるページや、内容も異なるものにする。顧客接点の最初のポイント、つまり広告によるファン化を狙う。そうすれば、広告も企業が所有するオウンドメディアとなり、企業ができることがまたひとつ増えることになる。

※日本経済新聞参照





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