Facebookは、すでに「マスメディア」である

東洋経済オンラインの読者の皆様、こんにちは。Facebook Japan代表取締役の岩下充志です。

このたび、この場をお借りして、インターネットのモバイル化や、情報流通量の増加で重要性が高まっているパーソナライゼーション、そしてマルチデバイス化によって注目を集めているデータに基づいたアドテクノロジーなどについて紹介します。そして、いくつかの観点から、日本のマーケティング市場がどのような状態にあり、その中でFacebookがどのように動いているのか、数回にわたってご説明をしていきます。どうぞよろしくお願いします。

第1回では、私の簡単な自己紹介、Facebookの現状、日本の広告業界のトレンドなどをお伝えしたいと思います。

Facebookには3つのPがある

私は電通の広告営業マンとしてキャリアをスタートし、その後ボストン・コンサルティング・グループのコンサルタント、日本マクドナルドのCMO、インターブランドジャパンの社長として経験を積んできました。Facebookを選んだ理由は、一言で表すならば「Why not?」、つまり、選ばない理由がなかったからです。

より具体的には、Potential、People、Partyという、「3つのP」に惹かれたからです。Potentialというのは、Facebookに秘められたメディアおよびビジネスとして可能性のことで、Peopleは、CEOマーク・ザッカーバーグやCOOシェリル・サンドバーグを始めとする、世界中から選りすぐられた才気溢れる人たちと一緒に仕事ができるということ。そして最後のPartyは、世界を変えてやるんだと、楽しみながらも真剣に打ち込んでいるFacebookの面々から伝わってくる熱気と興奮のことです。5年経って振り返ったときに「あのときのFacebookは異常だった、すごかった」と思える状況に見えたのです。

Facebookの事業展開は、グロース(成長)を目標とするフェーズ1と、マネタイズ(収益化)を目標とするフェーズ2の、2段階のプロセスを基本としています。私が就任した2013年5月頃のFacebook Japanはというと、まさにフェーズ2が始まったばかり。営業チームを本格的に立ち上げて組織的にもどんどん大きくなっていく中、グロースもまだまだ重要で、様々な要素のバランスをうまく取りながらビジネスを伸ばしていかなければならないという、実にクリティカルなタイミングでした。

そこに「経営のプロ」として参画するというのは、それだけでも大変やりがいのあることで、さらに、これまで代理店、クライアント、戦略コンサルタント、ブランドエージェンシーと、様々な立場からマーケティングに携わってきた自分の経験をフルに活用できるということもあって決断しました。

さて、Facebookの現状ですが、2004年にアメリカで創業されてから10年、現在は世界で13.5億人以上の月間アクティブユーザー(1カ月間に最低1回はサービスを利用しているユーザー)を抱えています。世界のオンライン人口が30億人弱と言われる中で、その約半数がFacebookを使っているというのは、なかなかすごいことではないでしょうか。

日本に限って言えば、2300万人の月間アクティブユーザーがいて、スマホなどのモバイル端末で利用している人はそのうち2100万人に上ります。日本のオンライン人口は9600万人と言われていますので、4~5人に1人はFacebookを使っている計算です。

フェーズ1については、まだまだ成長の余地はあるものの、おおむね順調だと言えるでしょう。フェーズ2については、Facebookの収益源が広告であることから、広告メディアとしてのFacebookを日本市場に定着させ、育てていくことが当面の課題です。ちなみにFacebookでは「to make the world more open and connected(世界をよりオープンで、よりつながれたものにする)」というミッションを掲げていて、あらゆることが最終的にはこのミッションの達成につながっていきます。

高まる「広告メディア」としての価値

そんなFacebookですが、広告メディアとしては実際のところどうなのでしょうか。

広告メディアの力を計る指標の1つとして、リーチ数があります。ネット広告の場合、利用者数すなわち最大リーチ数なので、Facebookは日本では2300万人にリーチできるということになります。大手新聞の販売部数と比べると、読売956万部、朝日743万部、毎日333万部、日経277万部(日本ABC協会「新聞発行社レポート 半期」2014年1月〜6月朝刊の平均)で、合わせても2309万部なので、Facebookがすでにメディアとしてかなり大きな存在になっていることがわかります。

広告業界の最近の傾向としても、デジタルメディア、特にモバイルがらみの売り上げが年々増えています。とはいえ、日本の2013年の総広告費6兆円のうち、デジタルメディアが占めていたのは9400億円で、モバイル広告に至ってはわずか2200億円にすぎません。

Facebookのモバイル利用率が90%を超えていることからも見て取れるように、スマホの普及によって利用面でこそモバイルがメインストリームになりつつありますが、広告ビジネスにおいてはまだまだメインストリームにはほど遠い状況です。

これはつまり、マーケターが消費者の動向に追いついていけていない、ということです。今後消費者がよりデジタルへ、よりスマホへと流れていく中で、広告予算とメディア接触時間の配分に生じているギャップを埋めていくのが1つのポイントになるでしょう。

だからと言って、とにかくデジタルとモバイルに広告予算をつぎ込めば良いのかと言うと、そういうわけでもありません。ネットは使っていないし新聞も読んでいないけれどテレビは見る、といった人たちはたくさんいます。「みんなが知っていることを知りたい」という欲求も、日本人の国民性として根強いので、当面はテレビがメインのマスメディアであり続けるでしょう。また、新聞も情報源としての信頼度が高く、一定のシェアを保ち続けるでしょう。

モバイルは他のメディアと共存できる

あなたの周りの人は、どのようにスマホを使っているだろうか(写真:Ushico / Imasia)

ただ、マスメディアに対する幻想とでも言うのか、テレビCMを打てば全国民に届く、というような思い込みがあるのであれば、それは改める必要があります。これからのマーケティングにおいては、実際の数字を見て、ターゲット層の動向をしっかりと認識した上で、それに合わせて各メディアに予算を配分していくことがこれまで以上に重要になってきます。

1つ覚えておいていただきたいのは、モバイルは既存メディアと共存させやすいということです。詳しくは次回お話ししますので、それまでの間、周りの方々がどのようにスマホを利用しているか少し観察してみてください。

※東洋経済ONLINEより参照





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