Monthly Archives: 12月 2012

どうなっているの? ネット広告の今と未来

ネット広告といえば「検索連動広告」が市場を引っ張ってきましたが、最近は「バナー広告」が注目を浴びています。「ちょっと古いなあ」と思うかもしれませんが、バナー広告が再燃している背景に迫ってみました。

 

皆さんはインターネット広告についてどのくらいご存じでしょうか? 何も知らなくてもネットを楽しむことはできますが、ネット上には広告を出稿している広告主がたくさんいます。

これまでは検索連動広告※が大きく伸びてきましたが、米国では今、ディスプレイ広告市場が再度加熱しています。ディスプレイ広告とはいわゆる「バナー広告」のこと。そのバナー広告が2012年以降、市場をけん引していくのではないかと見られています。

※検索サイトに入力した検索ワードに連動して表示される広告。
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yd_riku2.jpgUSネット広告市場の対前年成長率(出典:eMarketer.com

バナー広告が成長を始めた理由

バナー広告って古くない? と思われる人も多いでしょう。確かにバナー広告の市場は下落傾向にあったのですが、ターゲティング技術の発達とリアルタイムビッディング(RTB)※という革新的な広告の登場によって、今、再び注目を浴びているのです。

※リアルタイムビッディング:媒体側のシステムが広告会社のシステムに対してリアルタイムにオークションを行い、最高額の入札単価を提示した買い手が競り落とすシステムのこと。

下の画面は、ある米国の広告主が広告を入札する時に使うプラットフォーム(DSPと呼びます)です。

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画面の下部に縦の棒グラフが左から高い順に並んでいます。これは、ある広告主にとって魅力的なターゲットを順に並べたものです。

詳しく見てみると「富裕層、都心在住、大卒、既婚、家所有、車所有というターゲットは人口の0.7%ほどですが、平均よりも22%効果的である」ということが表示されています。

米国ではこうした情報が取引されていて、誰でもターゲティングするための情報を分析し、狙った層に広告を出すことができるのです。その結果、広告主は自分たちの商品・サービスのターゲットを絞って、効率的に広告を配信することができるようになったのです。

リアルタイムビッディングが登場

下の図をご覧ください。DSP(デマンドサイドプラットフォーム)という入札するためのプラットフォームを活用して、多くの広告主がさまざまな広告キャンペーンを配信しています。

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先ほど見ていただいたプラットフォームの画面で、どのようなターゲットが効果がよいかを把握し、いくらで広告を表示すべきか? 入札金額をプラットフォームが計算し、入札をリアルタイムに行っているのです。

ターゲティング技術が発達し、広告の購入方法が変わってきたことによって「このターゲットに1回広告を見せるのに1円」といった細かい買い方ができるようになりました。例えばニンジンを「3本200円」で販売するよりも、バラ売りにして「1本100円」で販売していくようなものですね。1本当たりの単価は少し高くなりますが、3本も食べない消費者からすると“お得”ですよね。

このように効率的な広告の買い方が実現できるようになったことで、ディスプレイ広告市場が拡大しているのです。日本ではまだまだリアルタイムビッディングで取引されている広告量は少ないのですが、あなたのPCや携帯電話などの画面へ広告を表示するために多くの広告主が競い合っている――これからはそんな時代になろうとしているのです。

広告が“もてなし”てくれる

どんな人に広告を出すのか? という時代になってきたので、今度はクリエイティブが大事になってきました。

  • どんなデザインがいいのか?
  • どんなメッセージがいいのか?

広告主はターゲットを想定して、まるで“ラブレター”のようにあれこれ考えて届けているわけです。当然、ランディングページ(広告のリンク先となるページ)までの訴求をトータルで考えることが重要になってきていますので、「誰に」「いつ」「どこで」「どのような」広告を見せて、「どんな」ページへ連れて行くかという5W1Hの設計が大切になってきます。オーディエンス(視聴者)からすると、広告から“もてなし”を受けるといった感じですね。

これまでのバナー広告は、どんな広告面を買うか? ということが中心でした。しかし検索連動広告の登場によって、どんなキーワードを買うか? という時代になりました。そしてこれからのインターネット広告は、どんな視聴者を買うか? という時代になってきます。

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あなたもどこかの広告にターゲティングされて、驚くほどスムーズな“もてなし”を受ける――そんな日がすぐにやって来るでしょう。

ちなみに私たちは未来のインターネット広告を目指して、日々新しい手法の開発にチャレンジしているのですが、未来に近づくための重要なキーワードは“超パーソナライズ”だと考えています。

最近の取り組みは視聴者をセグメントすることによって、関心の強いユーザーのみにバナーを届けるのではなく、リーチしたユーザーごとに興味をひくクリエイティブを出しわける、といった発見から動機形成までの一連の流れをパーソナライズした広告配信を実施しています。

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例えば、30代女性という視聴者に対して、最も興味をもってもらえる効果的なクリエイティブ(バナー、ランディングページ)はなにか? クリエイティブまでパーソナライズした配信を自動で見つけていく仕組み作りを実現しています。

あなたの画面に毎回出てくるバナー広告やクリックした先のランディングページが、ただの“広告”から、あなたのためだけに用意された“想いの込もったプレゼント”になるかもしれません。そんな世界観が、私たちの想像している未来のインターネット広告です。

※ITmediaビジネスONLiNE参照

PDCAをシンプルに考えるアクセス解析の新手法! 成果を上げる「仮説・検証型データ分析」ノウハウ全公開

アクセス解析ツールを導入したものの、

使い方がわからず、ほとんどログインしていない。

データが膨大で何から手をつけていいのかわからない。

分析をしたいが、統計や解析のノウハウがなく挫折した。

このような悩みを持つWeb担当者は多いのではないだろうか。アクセス解析の必要性を感じていても、なかなか手をつけられない、そんなデータ分析初心者向けのセミナー「改善が思いつく!アクセス解析の新手法~データ初心者にすすめる『本当に見るべきデータ』とは」を、デジタルマーケティング支援のビービットが12月18日に開催した。

必要なデータだけに目を向け、改善に役立つデータをもとにPDCAを高速にまわす。このような施策により、「月間PV数を259%アップ」「資料請求を6倍に増加」などの実績を上げてきたビービットが解説する、正しいアクセス解析の考え方とは何か。チーフコンサルタントの橋本公彦氏が解説したセミナーの要点をレポートする。

この記事の目次

大量データから宝物を見つけるのは難しい

橋本 公彦氏

株式会社ビービット
チーフコンサルタント
橋本 公彦氏

施策の結果をシンプルに見られる広告効果測定ツール「WebAntenna(ウェブアンテナ)」の提供でも知られているビービットだが、冒頭に紹介したような大きな改善を実現した背景には、どのようなデータ活用があったのだろうか。この日、登壇した橋本氏は、具体例を交えながら細部にわたってノウハウを明かした。

最初のテーマは、Web担当者にとっての「正しいアクセス解析の考え方」だ。とにかく大量のデータを集めて分析し、統計処理を行い、改善の指針となるような宝を発見する……。ビッグデータ時代のアクセス解析について、このような理想像を描いているWeb担当者は多いかもしれない。

ところが、このような取り組みは無駄にリソースを費やす結果となり、「ほとんどの企業は宝を見つけられない」と橋本氏は指摘する。理由は簡単で、ビッグデータの解析には高度なスキルが必要であり、成果を出すには専門の解析チームの編成が不可欠だからだ。広告施策の立案やサイトの改善業務に追われるWeb担当者が、片手間でできる業務ではない。

このため橋本氏は「専門チームを編成できない場合は、大量のデータから改善を見つけ出すような分析は諦め、現実の中でいかにアクセス解析データを効率的に使うかに発想を転換する必要がある」と主張する。

データをもとに仮説を立てるのではなく、仮説をあらかじめ立てておき、その仮説が合っているかどうかを見るためだけにデータを使用します。こうすることで見るべきデータが絞られますから、分析の専門スキルを持たないWeb担当者でも、データの活用に取り組めるようになります。

大量のデータ(ビックデータ)の分析を重視するという世の中の潮流に逆行しているかもしれませんが、現実にはこうしたアプローチで成果を上げている企業が非常に多いのです。

まず仮説を立て、その仮説が正しいかどうかをデータで検証する。データ活用の基本をこのように話したうえで、橋本氏は、事前の仮説検証のためにデータを用いることをWeb担当者の実務に落とし込み、成果を得るための具体的な方法を、「運用業務」と「リニューアル業務」の2つに分けて紹介した。

運用業務
施策別に改善に役立つデータだけを見る

まず運用業務だが、橋本氏によれば肝要なのは次の2点だ。まず1点目は見るべきデータを「成果につながるデータのみ」に絞り込み、ほかのデータは一切見ないと割り切ること。そして2点目は、グロスではなく施策別に成果を見ることだ。

施策の結果に絞ってデータを見ることで、改善サイクルをすばやくできる

このような運用によって大きな成果を上げた事例として、サントリー酒類の「角ハイボール」をヒット商品に育てたWebマーケティング施策が紹介された。

この事例では、角ハイボールの飲用経験者の増加を目的に、サイト上に角ハイボールの無料クーポンを用意し、シンプルに「無料クーポンのダウンロード件数」をKPIとして設定して、キャンペーンを始めた。そして、「純広告」「商品名“角ハイボール”の検索」「“地名+居酒屋”による検索」といった施策ごとに成果をチェックしていったという。

目的に合わせたKPIとして、見るべきデータが「クーポンのダウンロード数」にはじめから絞られているため、Web担当者は時間をかけずに必要なデータだけを施策開始直後から分析できる。そして集計されたデータを1週間後に検証すると、想定外の結果が出たという。

集客の主力だと考えていた純広告、そして最も重視していた「角ハイボール」という検索キーワードからのコンバージョンが非常に少なかった。当時は、角ハイボールがまだ世の中に浸透していなかったため、「角ハイボールの飲める居酒屋」を目当てに探す人はほとんどいなかったのです。

一方で、「渋谷+居酒屋」といった、あまり期待していなかったキーワードで成果が出ていた。この予想外の結果に着目して考えられたのが、「具体的に居酒屋を探している人ならクーポンダウンロードと相性が良く、成果が上げられるのではないか」という仮説です。

そして「渋谷のおいしい居酒屋特集」などのように、キーワードにマッチするランディングページを設け、仮説に沿った施策に転換することで大きく成果を伸ばしていきました。シンプルなKPIを設定し、データを見て仮説を修正し、すぐに改善に取り組んだことが、サントリー酒類の成功事例の大きなポイントになります。

運用業務
成果を上げる3つの基本ステップ

橋本氏によれば、成果を上げるためのプロセスは共通しており、どのような企業であっても、次の3ステップを踏まえる必要があるという。

  1. ゴール定義
  2. 仮説・実行
  3. データ検証

1. Web上で完結しない場合は、購入直前のページにKPIを設ける

まずゴール定義が大事なのは当たり前と思うかもしれないが、コンバージョンが「リアル店舗での商品購入」といったように、WebサイトのKPIを設定しづらいケースも多い。このようなときは、何をKPIにすればいいのか。

お勧めは、購入の直前や直後に位置するページのアクセス(訪問数)をKPIにすることです。たとえば、ある自動車ディーラーでは、店舗の地図ページへの訪問数をKPIにしています。またユーザーがどの店舗で購入するかわからないケース、たとえば、プリンターやペットボトル飲料などの場合には、商品購入後のユーザー登録ページや、ポイント付与キャンペーンのページがKPIになります。

Webサイトの明確なKPIが設定しづらい場合は、ゴール前後にKPIを設ける

2. ユーザーを意識した仮説は施策の幅を広げる

次に仮説・実行のステップだが、ここでは「AとBのどちらの施策がいいのか」ではなく「AとBのどちらのタイプのユーザーを対象とするのか」を意識して仮説を立て、検証することが重要だという。前者の考えでA/Bテストを繰り返していくと、実行できる施策の幅はどんどん狭くなってしまう。

一方、後者の場合は、大胆な発想の転換により、大きな成果を得られる可能性が生じる。そうした事例として、投資経験者向けから初心者向けにターゲットを変更し、FX取引の口座数を伸ばしたネット専業の証券会社の例が紹介された。

仮説を実験する場としては、「容易に変更ができ、費用や訪問数など面から改善インパクトの大きい領域であること」だと橋本氏はいう。たとえば、ランディングページやネット広告、メールマガジンなどが挙げられる。逆にグローバルナビゲーションなどは、インパクトは大きいが何度も変更するのは難しいため、お勧めできないそうだ。

3. 施策ごとに再訪問のデータを検証する

そして(3)のデータ検証では、施策ごとにパラメータを設定して効果を見るのは当然として、意外と見過ごされがちなのが再訪の評価だという。家電製品などは比較検討のために再訪が多くなるし、旅行や不動産などリードタイムの長い商品は再訪率が非常に高くなる。

再訪は施策の評価では見落としがちですが、ユーザー行動からすると重要なことが多いです。データ検証時は必ず再訪を見ることをお勧めします。

橋本氏はこのように運用業務で成果を出すための各ステップを説明し前半のセミナーを終えた。

リニューアル業務
見るデータを決めるまでは、解析ツールにログインしない

休憩時間を挟んでセミナー後半では、リニューアル業務でのデータ活用手法が主なテーマとなった。橋本氏はリニューアル業務においても、「大事なのはデータから入らないこと」と強調する。

リニューアルにあたってデータを見たものの、あまりにも量が膨大すぎて、結局、見た時間を無駄にしてしまうケースは多いと思います。見るデータを決めるまでは、解析ツールにログインしない、というぐらいの気持ちを持って、仮説の立案に時間を使うようにしてください

そして仮説を立てたら、次の3つの順に見るべきデータを定義していくことが大切だと橋本氏は説明する。

  1. 達成目標:リニューアルの達成目標(ゴール)を設定
  2. ユーザー分類:代表的なユーザー行動パターンを分類
  3. 導線分析:仮説をもとにユーザーの経路を分析

1. ビジネス貢献量をもとに達成目標を設定

まず、リニューアルで得たい成果はなにか、サイトの現状を把握し、ビジネス的な達成目標を設定する。そのうえで、目標につながるKPIを設定するのだが、運用業務と同様に、リニューアル業務においても、コンバージョンに近いところでKPIを設定していくのが鉄則だ。

たとえば、橋本氏が事例として取り上げたアパレルのブランドサイトの場合は、店舗情報の案内ページのユニークユーザー数が挙げられるという。リアル店舗へと足を運ぶユーザーは、高確率で店舗の場所などの情報を確認すると考えられるためだ。

KPIを設定したら、次に着目すべき点は、「どれくらい上下幅が出るか」「下降傾向か上昇傾向か」「季節変動」に絞られると橋本氏は説明する。細部ではなく、ざっくりと現行サイトの長期トレンドを把握するのがポイントだ。そのうえで、現行サイトはどの程度の「ビジネス貢献量」を発揮しているかを試算する必要があるという。

まず現状サイトのビジネス貢献量を試算してから、リニューアルの達成目標を定める

たとえば、店舗情報ページにアクセスするユニークユーザー数が2000人で、そのうち実際に来店するのは25%の500人だったとする。そして4割がコンバージョンすると仮定すれば購入客は200人。平均客単価が1万円なら、サイトは月200万円の売上に貢献していると試算できる。

アンケート調査などがあれば試算の精度を高められます。ない場合であっても仮の数字でいいので、ビジネス貢献度を数値化しておくことが重要です。

そうすると、リニューアルのコストに見合う売上はいくらで、そのためには店舗情報ページのユニークユーザーを何人増やす必要があるかがはっきりします。現行サイトのトレンドと、目指すべきビジネス貢献量との乖離を勘案して、実現可能性を判断できるようになります。

2. ユーザーを行動パターン別に分類

導線分析の前には、代表的なユーザー行動パターンを分類することが大事であり、そのためには「リアルでユーザーに会うプロセスが欠かせない」と、橋本氏は力説する。

実際に橋本氏は家族や友人・知人、職場などのつてでアパレルサイトのユーザーのヒアリング調査を行い、「CMを見てサイトに来る」「ブランド名で検索して流入する」「商品の個別検索で流入する」という3つの行動パターンがあるのをつかんだことがあると話した。

このような行動を取るユーザーが本当にいるかどうかは、流入経路別の訪問数とゴール到達数の2つを見るだけでわかります。そしてこの2つのデータを見れば、どの流入経路を改善すれば最も効果を得られるかという優先順位もつけられるのです。

Google Analyticsであれば、サイトの流入元を見て、流入元別のゴール到達者をクロス集計すればデータを得られます。ゴール到達者が想定していたより少なかった場合には、ユーザーの行動パターンの分類に戻って仮説を立て直す必要があるでしょう。

どのようなユーザーがいるのか、Web担当者自身が性別や年齢などの違いから、ブランドのターゲットでない場合はイメージするのは難しいだろうが、橋本氏は前述のアパレル事例のように、実際のユーザーに会うことでイメージしやすくなるとアドバイスする。

3. ユーザー行動の仮説を立て、経路を分析

ユーザーの代表的な行動パターンを把握したあとは、最も複雑な「導線」のプロセスへと入っていく。ここでもやはり、「サイトを訪れたユーザーはどのような行動とるか」といった、仮説を立てることから始まる。そのためにはユーザーになりきってサイトを利用し、サイト内行動パターンを明らかにすると同時に、課題を洗い出す作業(認知的ウォークスルー)をするのが有効だという。

そしてその行動パターンや、洗い出した課題が正しいかどうかを検証するために、データを活用する。具体的には各ページのゴール到達率と訪問数を調べ、仮説に代表性があるかどうかを検証するという流れになる。

本来、ユーザーの経路分析は非常に難解な解析作業になるという。しかし、あらかじめ「この行動パターンのユーザーはこのような経路をたどるだろう」という仮説を立てておくことで、ページ別のゴール到達率と訪問数という2つのデータを集計するだけで簡易的な評価ができるようになる。ここでも「データをやみくもに見るという無駄な作業をなくすことができる」と橋本氏は繰り返した。

ユーザー行動の仮説が正しいのか、代表性を検証して修正する

仮説がなければアトリビューションも意味がない

橋本氏は、同様にアトリビューション(間接効果)分析においても、「まず仮説ありき」の考え方が有効だと説明した。「大量データを見れば何かが見つかるという幻想」にとらわれ、仮説に基づいて分析している企業は少ないのだという。

現状でアトリビューションをきちんと使えている会社は、ほとんどないでしょう。純広告を打ってみたけれど、コンバージョン数が少なかった場合に、他の効果がなかったかを探すため、アトリビューションを見る。そのような後付けで純広告を評価する使い方をよく見かけます。

しかし本来は、ゴールに到るまでのストーリーを事前に描いておき、その途中で複数回にわたって行う顧客とのコミュニケーションの成果を検証することが重要です。ランディングページに誘導したらすぐに購入されるような“刈り取り型”の商品は、コンバージョンを見ればいい。アトリビューションが必要なのは、リードタイムが長く、複数のポイントで顧客と接触する“複数接触型”の商品やサービスです。

橋本氏は複数接触型の具体例として、「価格」ではなく「安心」を訴求するコミュニケーションへと変更し、コンバージョンを2倍に高めたホームセキュリティサービスの事例を紹介した。この事例では、「初回訪問者が警備拠点の数などを他社と比較した結果、再訪してコンバージョンする」というをストーリーをもとに施策展開した。そのため見るべきデータも、「再訪からのコンバージョン率」だけで事足りたという。

また、ある人材紹介会社は、「純広告で知名度を向上させれば登録者数が増加する」という仮説を立て施策を展開し、実際に登録者を増やした。このときに見ていたデータも、「登録者が過去に接触した広告」だけだったそうだ。

仮説をしっかり立てていれば、アトリビューションを測るKPIは自然と明らかになる。何を見ればいいか悩むようなことは、なくなるということだろう。さらに橋本氏は、アトリビューションのデータを見るときのポイントは2点あると説明する。

1つはリードタイムの長さ、つまり初訪問からどの程度の期間でコンバージョンするかです。そしてもう1つは施策ごとのユーザーとの接触回数の違いです。同じサイトでも、リスティングやバナーといった施策ごとに接触回数は異なります。ですからコミュニケーションも、施策ごとに変えていく必要があります。

最後に橋本氏は、ツールの活用について次のようにアドバイスをした。

日々の運用とリニューアルでは、適したツールが異なります。前者に適しているのは、必要なデータだけを時間をかけずに見られる効果測定ツールです。一方、後者では操作性が多少悪くても、多様なデータを見られるアクセス解析ツールが必要になります。

ビービット社が提供しているWebAntennaは、前者の効果測定ツールに分類され、「見られるデータがKPIなどに限られる代わりに、シンプルでわかりやすい」という特徴があるという。

WebAntennaでは、日々の運用の中で、この施策とこの施策のどちらが良かったということが一瞬で見られます。施策の結果を見るには、非常に扱いやすいツールになります。

データが多すぎて分析できないことが、PDCAのボトルネックになっているケースは少なくないだろう。スピーディーに仮説を検証し、PDCAをオーバードライブさせていくには、WebAntennaのように見られるデータを意図的に限定したツールの利用も効果的かもしれない。

※Web担当者Forum参照

なんでそうなるの?アクセス解析によるユーザー理解の基本は“童心に戻る”

[ユーザー]>[サマリー]レポートを使って、ユーザー理解の基本的な進め方を解説していこう。サイトのタイプによって、ユーザー理解をどのような視点で行うかは多少の違いはあるだろうが、今回は、利用時間帯分析をどのように進めればよいのかに焦点を当てる。

1. 平日と休日、曜日の利用差を確認する

[ユーザー]>[サマリー]レポートには、このサイトに何人が何回、何ページ見ているのかという主要な指標である「ユーザー数」「訪問数」「ページビュー数」が記載され(図1青枠部分)、この1か月の訪問数のトレンドが日別にグラフ表示してある。

さらに「サイトの平均滞在時間」「直帰率」「新規訪問の割合」といった、訪問者の質を表す重要な指標を3つ記載してある(図1緑枠部分)。

図1:[ユーザー]>[サマリー]のレポート

図1:[ユーザー]>[サマリー]のレポート

まず確認したいのは、平日と休日に利用の差があるかどうかだ。おそらく仕事に関係する内容のサイトであれば、図1のように平日によく見られ、休日には利用が減少するパターンになるだろう

一方、ニュースや娯楽系のサイトであれば、曜日による訪問数の違いはそれほど大きくないと予想できる。もちろんキャンペーン、メールマガジンなど集客施策に依存している場合は、それらをどのようなタイミングで行っているのかによって、利用パターンも大きく変わるが、いずれにしても曜日別の利用パターンが想定外であることは少ないのではないだろうか。

自分のサイトが、平日、休日、曜日によってどのような利用パターンになっているか、おおまかなところを把握しておこう。

2. 時間帯別の利用パターンを確認する

次に見るべきなのは、時間帯別の利用パターンだ。平日と休日それぞれについて、時間帯別の利用パターンを確認しよう。キャンペーンなどに依存した大きな変動がなさそうな連続した木曜日~日曜日までの任意の4日間を、図2のようにまずカレンダーで選択して表示させよう。ここでは、2012年11月29日(木)から12月2日(日)までの4日間を指定している。

図2:連続した木曜日から日曜日までの4日間を指定

図2:連続した木曜日から日曜日までの4日間を指定

続いて、レポート画面上部のグラフ表示の表示時間単位を「時間別」(図3赤枠部分)に変更しよう。仕事に関係するサイトであれば、平日の日中にだけ利用が集中しているということが見て取れるだろう(図3青枠部分)。ただし、図1の規模のサイトだと、日別・時間別に表示させてもそれほど明確に時間別の特徴が出にくい場合もある。

図3:職場から平日の日中利用されることが多いサイトの時間別利用パターン例(木曜日~日曜日)

図3:職場から平日の日中利用されることが多いサイトの時間別利用パターン例(木曜日~日曜日)

一方、一般的なECサイトなどの場合では、曜日別ではあまり変化がなく、図4のように平日と休日の時間別の利用パターンが若干異なることが読み取れることが多い。

図4:一般的なECサイトの時間別利用パターン例(木曜日~日曜日)

図4:一般的なECサイトの時間別利用パターン例(木曜日~日曜日)

この図4のグラフを見て、平日と休日の利用パターンの特徴を指摘するとすれば、

  • 休日は平日より利用パターンがフラット(夜以外の明確なピークがない)
  • 平日は昼の12時台(図4の赤矢印部分)と夜(図4の青矢印部分)に利用のピークがある

といったところだろう。このサイトで言えば、たとえば平日の昼のピーク(図4赤矢印部分)は利用者がどのような状況で利用しているのかを想像できているだろうか。

ここで木曜日から日曜日までの4日を時間別に見てみたのだが、読者の中には、「平日と休日を1日ずつ、つまり金曜日と土曜日でもいいのではないか?」と思う人もいるかもしれない。しかし、たとえば金曜日と土曜日だと、利用パターンの違いが顕著に出てなかったりする可能性もあるので、4日間、つまり平日2日と休日2日の2つの対比をしてみたのである。逆に、これ以上日数が多いと、また細か過ぎるグラフになって特徴を発見するのが難しくなる。

3. 平日と休日を重ね合わせて比較してみる

ここまで読み込んだら、せっかくなのでもう少し細かく突っ込んでみていこう。典型的な平日と休日を重ね合わせてみることで、その違いをクローズアップしてみる。図5のように日曜日と月曜日を比較する指定を行ってみる。上に2012年12月3日(月)、下にその比較対象として12月2日(日)を指定する。

図5:日曜日と月曜日を比較する指定

図5:日曜日と月曜日を比較する指定

その結果のグラフ表示画面が図6だ(図3と同様に「時間別」のグラフにしている)。

図6:時間帯別に日曜と月曜を比較。オレンジ色が12月2日(日)、青色が12月3日(月)のデータ

図6:時間帯別に日曜と月曜を比較。オレンジ色が休日12月2日(日)、青色が平日12月3日(月)のデータ

このグラフを見ると、

  • 休日は平日より利用パターンがフラット(夜以外の明確なピークがない)
  • 平日は昼の12時台と夜に利用のピークがある

という、先ほど図4で指摘した点がよりはっきりとわかる。しかし、ここでまた新たな疑問が浮かぶ。次のようなことも調べてみたくならないだろうか。

  • 休日と平日の夜のピーク(ゴールデンタイム)に時間差はあるか?
  • 金曜日と土曜日、土曜日と日曜日(次の日が休みか、当日が平日か休日か)で夜のピークに時間差はあるか?

解析のコツは、童心に戻って、「何で? なぜ?」を繰り返すことだ。こうやって仮説検証型でデータを深読みしていくことが、解析を進めていく上でもっとも重要なことなのだ。上の2つの疑問に対しては、ここではあえて、答えは示さない。というのも、ここで例に挙げたサイトについてその答えを知ることにほとんど意味はないからだ。自分のサイトのデータで各自分析してみてほしい。

※Web担当者Forum参照

「アクセス解析」でも「Web解析」でもない

Web Analyticsは「アクセス解析」や「Web解析」と訳されますが、実はどちらも微妙に異なります。「分析」と「解析」の違い、「アナリシス」と「アナリティクス」の違い、「ログ」や「アクセス」ではない理由など、紛らわしく悩ましい現状について整理しつつ、注意点をまとめました。

アナリティクス=解析ではない

Web解析は英語では”Web Analytics”と呼ばれます。Web解析全般の意味で「アナリティクス」と言うと、たまに「Googleアナリティクス」の略だと勘違いされるのですが、「アナリティクス」は商品名ではなく一般的な英単語です。「分析」を意味する「アナリシス」をMerriam-Websterで調べると、“separation of a whole into its component parts”(全体を部品に分解すること)とあります。Wikipediaでは“Analysis is the process of breaking a complex topic or substance into smaller parts to gain a better understanding of it.”(複雑なトピックや物質を部品に分解することでその理解を深めるプロセス)と記述されています。

一方、”Analytics”(アナリティクス)はMerriam-Websterでは“the method of logical analysis”と解説されています。つまり、「アナリシス」は個別の分析行為を指し、「アナリティクス」は分析の方法全体(方法論)を指すのです。

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日本語では、“Analysis”は「分析」、“Analytics”は「解析」と訳されることが多いようです。日本語の「分析」は「複雑な事柄を1つひとつの要素や成分に分け、その構成などを明らかにすること」(小学館デジタル大辞泉)を意味するので、英語の“Analysis”と一致しますが、日本語の「解析」は「事物の構成要素を細かく理論的に調べることによって、その本質を明らかにすること」(小学館デジタル大辞泉)と学術的な意味合いが濃いので、分析方法としての英語の「アナリティクス」とはやや異なります。

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細かさという観点で単純比較すると、「解析<分析<アナリティクス」になります。

アクセスやログは一部でしかない

Web解析は当初、「ログ分析」や「アクセスログ分析」「アクセスログ解析」などと呼ばれていました。これは、Webサーバーが書き出すシステム監査用のログファイルを使って分析をしていた頃の名残です。最近はタグ(JavaScript)を使って行動分析のための専用データを能動的に取得し、サーバーに送信する方式が主流なので、「ログ分析」や「アクセスログ分析」という呼称では実情に合わなくなりました。

現在では、Web Analyticsに相当する訳語としては「アクセス解析」が主流になっています。ただし、英語のアクセス(Access)は「近づく」という意味の動詞であり、継続的に利用するという意味合いが薄くなります。意味が近い類義語の「アプローチ」で置き換えてみると、違いをイメージしやすくなります。

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「アクセス」することでWebサイトの利用を開始した後に、サイトを回遊して情報を探索したり、購入や登録などのアクションを実行します。セッションが終わり、サイトを離脱した後も、サイトを再訪問することがあります。Web解析に詳しい人であれば、このような一連の行動を訪問者の視点で追いかけて分析する必要性について理解できていると思いますが、初めて「アクセス解析」という言葉を聞く人は、その表現から「何人がサイトにやってきてどのページを何回見たのか、のように細かい数字を見ること」というようなスタティックな集計作業をイメージしてしまうかもしれません。

Webアナリティクスからデジタルアナリティクスへ

では、英語のWeb Analyticsはどう定義されているのでしょうか? Wikipediaでは“Web analytics is the measurement, collection, analysis and reporting of internet data for purposes of understanding and optimizing web usage.”(Webの利用状況を理解し最適化するためにデータを計測/収集/分析/レポーティングすること)と記述されています。Webサイトを最適化(改善)することがゴールであり、分析はそのために必要なステップの一部でしかないという点を明確にしているところが日本語の「アクセス解析」という言葉から得られるイメージとは少し異なります。

※ITmediaマーケティング一部参照