Monthly Archives: 11月 2010

アドワーズ広告の「拡張CPC」は、グーグル公式の慎重で柔軟な自動入札の仕組みだ

最近のグーグルは、アドワーズ広告を中心とした広告関連の機能追加を、以前にも増して早いスピードで行っている。実際のところ、追加される機能それぞれが強いインパクトをもつものだから、なおさらそう思うのかもしれない。

そのなかでも、筆者が大きく衝撃を受けたアドワーズ広告の機能強化の1つが、2010年8月に追加された「拡張CPC(クリック単価)」である。

検索エンジンマーケティングに特化した世界最大級のイベント「SESサンフランシスコ2010」カンファレンス(2010年夏)でも、拡張CPC(クリック単価)の機能や有効な使い方について、グーグル自らのセッションで取り上げていた。そこで今回は、アドワーズ拡張CPC(クリック単価)の解説をしつつ、筆者の考察も提供したい。

そもそも拡張CPC(クリック単価)とはどんな機能なのか?

拡張CPCとは、簡単に言うと、グーグルが提供する自動入札機能の1つである。拡張CPCを利用すると、キャンペーンや、その中に含まれるキーワードが多い場合でも、煩雑な入札管理に人手をかけることなく、全体的な獲得単価を調整しつつ、コンバージョンの数を増やせるようになるのだ。

実際にシステムがどのように動いているかというと、広告が表示されるたびに推定コンバージョン率が算出され、上限クリック単価が調整されるのだ。その際には、キャンペーンの過去のコンバージョン計測データなど、さまざまなデータを計算に利用している。

拡張CPC推定のコンバージョン率の算出には、多くの要因が考慮される
検索連動型広告の場合
  • マッチタイプ(部分一致か完全一致か)
  • ユーザーの検索クエリに含まれる特定のワード
  • 過去の広告のパフォーマンス
コンテンツ連動型広告の場合
  • 過去の広告のパフォーマンス
  • 広告とウェブサイトのコンテンツとのマッチングの精度
  • ウェブサイトの現行のコンテンツ
ユーザー属性
  • 地域
  • ブラウザ
  • OS
  • ユーザーの言語設定
  • 時間帯

コンバージョンの確率が高いと判断された場合は、上限クリック単価が自動的に引き上げられる(最大30%増まで)。つまり、積極的に上位に表示される。

逆に、コンバージョンが見込めないと判断された場合には、上限クリック単価が自動的に下げられる(下限は特になし)。つまり、上位には表示されず、広告費を節約できる。

拡張CPCを使うには管理画面からチェックするだけ

拡張CPCを有効にするには、まずコンバージョントラッキングを有効にする必要がある。コンバージョントラッキングを設定したら、次のようにして拡張CPCを有効にする。

  1. アドワーズ広告の管理画面にアクセスする
  2. 対象のキャンペーンを選ぶ。
  3. キャンペーン画面の[設定]タブを選ぶ。
  4. [単価設定と予算]セクションの[単価設定オプション]の右側にある[編集]をクリックする。
  5. 編集画面で[拡張 CPC]の下にあるチェックボックスをオンにする。
アドワーズ広告の拡張CPC設定

また、拡張CPCを利用する場合でも、さらに、次の2つの設定がある。

  • クリック単価を個別に設定する ―― 基準となる上限CPCを自分で決めて設定したい場合に選ぶ。
  • 自動入札により、設定した予算内でクリック数を最大にする ―― 自動入札機能に上限クリック単価を決めてもらいたい場合に選ぶ。

いずれの場合でも、その後、拡張CPCがさまざまな情報に基づいて入札金額を自動的に上下させることには変わらない。設定すべき上限クリック単価に自信がない場合は、自動入札機能に任せてもいいだろう。

拡張CPCを有効にしたら、まずはキャンペーンを数週間走らせることをおすすめする。パフォーマンス結果について判断するのは、そのあとだ。

拡張CPCとコンバージョンオプティマイザーは何が違うのか

ところで、アドワーズ広告にはこれまでも「コンバージョンオプティマイザー」という機能がある。コンバージョンオプティマイザーと拡張CPCの違いはわかりづらいため、以下に整理してみた。

コンバージョンオプティマイザー 拡張CPC
入札管理の自由度 なし。広告グループ単位でコンバージョン単価を設定し、あとはシステムが入札を自動調整 あり。キーワード単位の上限クリック単価まで自ら設定可能。入札の影響範囲は段階的(50%~75%)
コンバージョントラッキング条件 過去30日間のコンバージョン数が15件以上必要 特になし
高度なキャンペーン設定 使えない 広告スケジュール、掲載順位設定、ユーザー層別入札などと併用可能

最も大きな相違点は、その入札管理の積極性と自由度だろう。

コンバージョンオプティマイザーは、必要コンバージョン数を満たすための統計データがある程度揃うため、より低いCPAを実現するために、かなり踏み込んで入札を自動的に調整する。この積極性に最初は戸惑うユーザーも多い。CPAが期待通り下がるまでに、逆にCPAが以前よりも増えてしまったり、クリックが大幅に減ってしまったりすることもあるからだ。そのうえ、大事なキーワードの上限クリック単価は操作できないため、コンバージョンオプティマイザーを使う場合は、グーグルの自動入札ロジックを信頼し、キャンペーンのパフォーマンスに対して気持ちの余裕も持っていないといけない

拡張CPCは、コンバージョンオプティマイザーと比べると、抑え気味である。設定当初はオークションに入札中の50%のみで有効になる。前述の通り、パフォーマンスが良い場合は、個別に設定している上限クリック単価の30%増までを引き上げ、悪い場合は引き下げる(下限はなし)。パフォーマンスが良いと判断された場合は、オークションに入札中の75%まで対象範囲が拡げられる。基準値となる個別の上限クリック単価は手動で変更することがいつでも可能で、再度設定した上限CPC(+30%)の範囲内でシステムが調整を行ってくれる。拡張CPCは、入札管理についてはより慎重なアプローチを取り、なおかつユーザーによる入札管理の自由度も確保された手法である。

拡張CPCはどういう場面で使うべきか?

それぞれのコンバージョンオプティマイザーと拡張CPCの特徴を整理すると、次のようになる。

  • コンバージョンオプティマイザー ―― 過去のCPAデータへの依存が高い、完全おまかせ/全体最適型の手法。
  • 拡張CPC ―― ユーザーの知見やテストに依存が高い、半DIY/個別最適型の手法。

では、それぞれの手法はどういった状況で利用するべきなのだろうか。

  • コンバージョンオプティマイザーを使うべき場面:
    • グーグルの自動入札ロジックを信頼でき、入札の全権を任せたい
    • 月に15以上のコンバージョンがある
    • キャンペーンパフォーマンスの大きな変動に対しても問題ない(冷静に待てる)
  • 拡張CPCを使うべき場面:
    • 入札に対する自らの知見を重視した運用を行いたい
    • 自動入札は行いたいが、やや慎重には行いたい
    • コンバージョン数が少ない
    • 広告スケジュール、掲載順位設定、ユーザー層別入札などは自分で設定したい

インパクトの大きいキーワードが特定できており、ROIを実現するための入札ノウハウも持っているような場合は、拡張CPCのほうが柔軟性もあり使いやすいだろう。

サードパーティの自動入札システムとの連動利用という選択肢

記事冒頭でも紹介したSESサンフランシスコのセッションでは、グーグルは「拡張CPCは、サードパーティの自動入札システムを補完する機能である」という説明をしており、両者を併用した利用を推奨していた。

コンバージョンオプティマイザーにしても拡張CPCにしても、グーグルしかできないリアルタイムなオークションに対応した自動入札ロジックが実装されている。これはサードパーティのツールではどうしても実現しづらい。よって、ユーザーが設定するコンバージョンの価値/キャンペーンの目標をベースに、サードパーティの自動入札システムがキーワード別の入札金額を設定する部分。そして、拡張CPCがユーザーのクエリ、属性情報、リアルタイムなオークションデータをベースに入札を微調整するという役割分担をすれば、両者の良いところをうまく使った自動入札システムを構築できることになる。


拡張CPC
・ユーザー属性
・リアルタイムのオークションデータ
をベースに、入札金額を微調整

サードパーティの自動入札システム
・コンバージョン価値
・キャンペーン目標
・その他ビジネス特有の情報
をベースに、入札金額を設定

包括的なコンバージョンベースの自動入札戦略システムを実現できる

筆者もこの手法には賛同しており、今後機会があれば検証はしてみたいと考えている。

※Web担当者Forum参照

アドワーズ広告の「拡張CPC」は、グーグル公式の慎重で柔軟な自動入札の仕組みだ

最近のグーグルは、アドワーズ広告を中心とした広告関連の機能追加を、以前にも増して早いスピードで行っている。実際のところ、追加される機能それぞれが強いインパクトをもつものだから、なおさらそう思うのかもしれない。

そのなかでも、筆者が大きく衝撃を受けたアドワーズ広告の機能強化の1つが、2010年8月に追加された「拡張CPC(クリック単価)」である。

検索エンジンマーケティングに特化した世界最大級のイベント「SESサンフランシスコ2010」カンファレンス(2010年夏)でも、拡張CPC(クリック単価)の機能や有効な使い方について、グーグル自らのセッションで取り上げていた。そこで今回は、アドワーズ拡張CPC(クリック単価)の解説をしつつ、筆者の考察も提供したい。

そもそも拡張CPC(クリック単価)とはどんな機能なのか?

拡張CPCとは、簡単に言うと、グーグルが提供する自動入札機能の1つである。拡張CPCを利用すると、キャンペーンや、その中に含まれるキーワードが多い場合でも、煩雑な入札管理に人手をかけることなく、全体的な獲得単価を調整しつつ、コンバージョンの数を増やせるようになるのだ。

実際にシステムがどのように動いているかというと、広告が表示されるたびに推定コンバージョン率が算出され、上限クリック単価が調整されるのだ。その際には、キャンペーンの過去のコンバージョン計測データなど、さまざまなデータを計算に利用している。

拡張CPC推定のコンバージョン率の算出には、多くの要因が考慮される
検索連動型広告の場合
  • マッチタイプ(部分一致か完全一致か)
  • ユーザーの検索クエリに含まれる特定のワード
  • 過去の広告のパフォーマンス
コンテンツ連動型広告の場合
  • 過去の広告のパフォーマンス
  • 広告とウェブサイトのコンテンツとのマッチングの精度
  • ウェブサイトの現行のコンテンツ
ユーザー属性
  • 地域
  • ブラウザ
  • OS
  • ユーザーの言語設定
  • 時間帯

コンバージョンの確率が高いと判断された場合は、上限クリック単価が自動的に引き上げられる(最大30%増まで)。つまり、積極的に上位に表示される。

逆に、コンバージョンが見込めないと判断された場合には、上限クリック単価が自動的に下げられる(下限は特になし)。つまり、上位には表示されず、広告費を節約できる。

拡張CPCを使うには管理画面からチェックするだけ

拡張CPCを有効にするには、まずコンバージョントラッキングを有効にする必要がある。コンバージョントラッキングを設定したら、次のようにして拡張CPCを有効にする。

  1. アドワーズ広告の管理画面にアクセスする
  2. 対象のキャンペーンを選ぶ。
  3. キャンペーン画面の[設定]タブを選ぶ。
  4. [単価設定と予算]セクションの[単価設定オプション]の右側にある[編集]をクリックする。
  5. 編集画面で[拡張 CPC]の下にあるチェックボックスをオンにする。
アドワーズ広告の拡張CPC設定

また、拡張CPCを利用する場合でも、さらに、次の2つの設定がある。

  • クリック単価を個別に設定する ―― 基準となる上限CPCを自分で決めて設定したい場合に選ぶ。
  • 自動入札により、設定した予算内でクリック数を最大にする ―― 自動入札機能に上限クリック単価を決めてもらいたい場合に選ぶ。

いずれの場合でも、その後、拡張CPCがさまざまな情報に基づいて入札金額を自動的に上下させることには変わらない。設定すべき上限クリック単価に自信がない場合は、自動入札機能に任せてもいいだろう。

拡張CPCを有効にしたら、まずはキャンペーンを数週間走らせることをおすすめする。パフォーマンス結果について判断するのは、そのあとだ。

拡張CPCとコンバージョンオプティマイザーは何が違うのか

ところで、アドワーズ広告にはこれまでも「コンバージョンオプティマイザー」という機能がある。コンバージョンオプティマイザーと拡張CPCの違いはわかりづらいため、以下に整理してみた。

コンバージョンオプティマイザー 拡張CPC
入札管理の自由度 なし。広告グループ単位でコンバージョン単価を設定し、あとはシステムが入札を自動調整 あり。キーワード単位の上限クリック単価まで自ら設定可能。入札の影響範囲は段階的(50%~75%)
コンバージョントラッキング条件 過去30日間のコンバージョン数が15件以上必要 特になし
高度なキャンペーン設定 使えない 広告スケジュール、掲載順位設定、ユーザー層別入札などと併用可能

最も大きな相違点は、その入札管理の積極性と自由度だろう。

コンバージョンオプティマイザーは、必要コンバージョン数を満たすための統計データがある程度揃うため、より低いCPAを実現するために、かなり踏み込んで入札を自動的に調整する。この積極性に最初は戸惑うユーザーも多い。CPAが期待通り下がるまでに、逆にCPAが以前よりも増えてしまったり、クリックが大幅に減ってしまったりすることもあるからだ。そのうえ、大事なキーワードの上限クリック単価は操作できないため、コンバージョンオプティマイザーを使う場合は、グーグルの自動入札ロジックを信頼し、キャンペーンのパフォーマンスに対して気持ちの余裕も持っていないといけない

拡張CPCは、コンバージョンオプティマイザーと比べると、抑え気味である。設定当初はオークションに入札中の50%のみで有効になる。前述の通り、パフォーマンスが良い場合は、個別に設定している上限クリック単価の30%増までを引き上げ、悪い場合は引き下げる(下限はなし)。パフォーマンスが良いと判断された場合は、オークションに入札中の75%まで対象範囲が拡げられる。基準値となる個別の上限クリック単価は手動で変更することがいつでも可能で、再度設定した上限CPC(+30%)の範囲内でシステムが調整を行ってくれる。拡張CPCは、入札管理についてはより慎重なアプローチを取り、なおかつユーザーによる入札管理の自由度も確保された手法である。

拡張CPCはどういう場面で使うべきか?

それぞれのコンバージョンオプティマイザーと拡張CPCの特徴を整理すると、次のようになる。

  • コンバージョンオプティマイザー ―― 過去のCPAデータへの依存が高い、完全おまかせ/全体最適型の手法。
  • 拡張CPC ―― ユーザーの知見やテストに依存が高い、半DIY/個別最適型の手法。

では、それぞれの手法はどういった状況で利用するべきなのだろうか。

  • コンバージョンオプティマイザーを使うべき場面:
    • グーグルの自動入札ロジックを信頼でき、入札の全権を任せたい
    • 月に15以上のコンバージョンがある
    • キャンペーンパフォーマンスの大きな変動に対しても問題ない(冷静に待てる)
  • 拡張CPCを使うべき場面:
    • 入札に対する自らの知見を重視した運用を行いたい
    • 自動入札は行いたいが、やや慎重には行いたい
    • コンバージョン数が少ない
    • 広告スケジュール、掲載順位設定、ユーザー層別入札などは自分で設定したい

インパクトの大きいキーワードが特定できており、ROIを実現するための入札ノウハウも持っているような場合は、拡張CPCのほうが柔軟性もあり使いやすいだろう。

サードパーティの自動入札システムとの連動利用という選択肢

記事冒頭でも紹介したSESサンフランシスコのセッションでは、グーグルは「拡張CPCは、サードパーティの自動入札システムを補完する機能である」という説明をしており、両者を併用した利用を推奨していた。

コンバージョンオプティマイザーにしても拡張CPCにしても、グーグルしかできないリアルタイムなオークションに対応した自動入札ロジックが実装されている。これはサードパーティのツールではどうしても実現しづらい。よって、ユーザーが設定するコンバージョンの価値/キャンペーンの目標をベースに、サードパーティの自動入札システムがキーワード別の入札金額を設定する部分。そして、拡張CPCがユーザーのクエリ、属性情報、リアルタイムなオークションデータをベースに入札を微調整するという役割分担をすれば、両者の良いところをうまく使った自動入札システムを構築できることになる。


拡張CPC
・ユーザー属性
・リアルタイムのオークションデータ
をベースに、入札金額を微調整

サードパーティの自動入札システム
・コンバージョン価値
・キャンペーン目標
・その他ビジネス特有の情報
をベースに、入札金額を設定

包括的なコンバージョンベースの自動入札戦略システムを実現できる

※Web担当者Forum参照

リスティング広告の平均クリック率は5%、コンバージョン率は9% – 2000人調査

今日は、リスティング広告の話題を。他社はリスティング広告でどれくらいのクリック率やコンバージョン率なのか知ってみたいと思いませんか? 興味深い調査データがあります。

マーケティングシェルパが発行した「PPCマーケティング ベンチマーク2011」という調査データから、リスティング広告の参考指標をいくつか紹介しましょう。いずれも、検索連動型のリスティング広告に関するものです。

クリック率 コンバージョン率
全体平均 5% 9%
企業規模ごと
小規模事業者(従業員100人未満) 5% 9%
中規模事業者(従業員100人~1000人) 4% 9%
大規模事業者(従業員1000人超) 8% 12%
対象セグメントごと
B2B 4% 8%
B2C 7% 12%
B2B&B2C 6% 9%
業種ごと
ビジネス/消費者サービス 8% 11%
コンピュータハード/ソフト 6% 8%
小売り/EC 7% 8%
教育/ヘルスケア 2% 16%

コンバージョン率に関しては、どんなコンバージョンなのかの分類によるデータもあります。

コンバージョン率
リード情報(複数項目)送信 10%
オンライン購入完了 9%
メールアドレス送信 10%
ショッピングカートに商品を追加 15%

ちなみに、リスティング広告によるCPA(コンバージョンごとコスト)は43.44ドルで、全体のリードのうちリスティング広告で獲得したリードの比率は16%とのこと。

また、リスティング広告キャンペーンとソーシャルメディアでの展開を総合的に行っている企業とそうでない企業(リスティング広告のみ)を比べたデータもあります。

ソーシャルメディア&
リスティング統合
ソーシャルメディア統合なし
リスティングのみ
クリック率 6% 3%
コンバージョン率 10% 8%
CPA 35ドル 61ドル
Cover of 2011 Search Marketing Benchmark Report - PPC Edition
2011 Search Marketing Benchmark Report - PPC Edition

このデータは、マーケティングシェルパが定期的に行っている検索マーケティング調査の第7回として、2194人の検索マーケターを対象に行われた調査結果(2010年9月発表)によるものです。

2011 Search Marketing Benchmark Report – PPC Edition
US $447 / ISBN: 978-1-936390-01
Copyright (C) 2010 by MarketingSherpa LLC

金曜コラムの海外&国内SEOウォッチで、この調査の一部をスポンサーしたハブスポット社の記事が紹介されていましたが、同じ調査レポートの他のデータも興味深いため、紹介してみました。

ソーシャルメディアの利用がオーガニックSEOに好影響を与えるのは理解しやすい流れですが、同様にリスティング広告(検索連動型広告)のクリック率やそこからのコンバージョン率に好影響を与えている可能性があるのはおもしろいところです。

ただし、このデータに関しては「相関関係があるからといって因果関係があるとは限らない」点にも注意が必要です。

つまり、たとえば、熟練したマーケターに「良いリスティング広告を展開できる率が高く、またソーシャルメディアを積極的に利用する傾向が強い」という特徴があれば、上記のようなデータが導かれるのです。

もちろん、ソーシャルメディアをうまくキャンペーンに組み込むことでブランディングが進み、ユーザーがリスティング広告を目にしたときに「お、これ見たことがある」となる可能性もあります。これまでならばそういった効果を得るのはマス広告やディスプレイ広告の役割だったのですが、それがソーシャルメディアに移ってきているのも事実なのかもしれません。Twitterはあいかわらず人気ですし、ここ1か月ほどFacebookも賑やかになってきていますからね。

※Web担当者Forum参照

ECサイトの解析レポート作り方マニュアル [アクセス解析tips]

今回から数回にわたって、アクセス解析のデータをどのような定期レポートにして見ていったらよいかを、サイトの種類別に解説していく。第1回はEC(電子商取引)サイトを取り上げる。

まずは、レポートに掲載する指標の選択方法についてお話ししたい。はやり言葉で言うとKPI(重要業績評価指標)ということになる。KGI(経営目標達成指標)と分けて話をする場合もあるが、ここではまとめて何が管理すべき指標として必要かということを考察していきたい。

また、レポートは誰に向けてレポートするかによって、レポート頻度と内容が変化するので、

  • マネジメント層向けレポート
  • 現場向けレポート

の2つのパターンで考えてみたい。

「サイトの売上」を分解してみる

ECサイトに限らず、どんなサイトにも共通することだが、レポートする指標は、サイトの目的から逆算して設定していくべきである

ECサイトの目的は、サイトで売上を立てること、すなわち、売上を上げ、適正な利益を得て、サイトでのビジネスを継続的に成長させることだ。

とはいえ、いきなり「サイトの売上」に関係する指標をピックアップするのは、いささか距離があり過ぎる。そこで、売上を次のような要素に分解して考えてみよう。

ECサイトの売上の分解:訪問回数、購入率、購入単価

図1 ECサイトの売上の分解

図1は売上を構成する要素に分解してみたものである。たとえば、月次の売上を回数ベースで考えた場合は、

月次の訪問回数× 訪問回数ベースの購入率(コンバージョン率)× 該当月の訪問1回あたりの購入単価月次売上

となる。

売上はこのように3つの要素の掛け算になるので、売上の上下動の要因はこれらに分解して分析し、レポートすれば、非常にわかりやすい。当たり前だが、集客を増やし、訪問回数が増えなければ、ビジネスチャンスは広がらない。また集客ができていても、買ってくれる顧客の割合が増えなければ売上は上がらない、ということになる。

訪問回数を分解する

さらに訪問回数はどのように分解できるだろうか。ここでは、「無理やり集客しなくても来る人たち(自然流入)」と「キャンペーンなどで能動的に集客してくる場合(広告流入)」に分けてみた。

訪問回数の分解

図2 訪問回数の分解

広告流入回数と自然流入回数をさらに分解してみよう。広告の種類は主にディスプレイ広告と検索連動型広告に分けられる。ディスプレイ広告の広告流入回数は、広告の掲載媒体別、クリエイティブ別に分けられ、検索連動型広告の広告流入回数は、検索エンジン別、キーワード別などの軸で成果を評価できる。

広告流入回数の分解

図3 広告流入回数の分解

また、自然流入として集客できている部分に関しては、参照元なしの割合や、具体的な参照元ドメイン名、自然検索からのキーワードといった項目に落とし込んで見ていくことが有効だ。

自然流入回数の分解

図4 自然流入回数の分解

このようにして、最後は流入分析のさまざまな指標まで落とし込んで評価可能にすることが大事だ。

もちろんサイトによって集客戦略は違う。各サイトによってどの指標が重要なのかは違うのが当たり前なので、すべてを並列に見る必要はない

購入(コンバージョン)率と購入単価を分解する

一方、購入(コンバージョン)率はどのような要素に左右されるだろう。たとえばここでは、

  • 何を売っているのか
  • どう表現して売っているのか(デザイン、情報構造・見せ方、信頼感)
  • 買いやすいか(カートの作り方)

といった要素に分解してみることが可能だ。

この部分は、ユーザーが回遊してから購入するまでの流れの部分である。多くの人を集客してきても、来た人がすぐに帰ってしまっては意味がないので、まずは十分にサイト内のページを見てくれているのかが重要なポイントになる。

さらに、その先には、

  • ある程度関心のある人がしっかり商品情報を見てくれているのか
  • どれだけの人が商品をカートに入れているのか
  • カートに入れた人が実際に買ってくれるのか

というのがポイントになるだろう。

この部分は複雑に絡んでいるので、流入回数のように明確に足し算や掛け算になるような分解や対応付けは難しいかもしれない。しかし、上記のように考えれば、アクセス解析の指標としては、

  • 1訪問あたりの閲覧ページ数
  • 閲覧経路
  • 直帰率
  • 閲覧環境
  • カート投入率
  • コンバージョンプロセスにおける離脱率

といったものが重要な指標として挙げられるだろう。

また購入単価は、商品別に分解するのが基本になる。リピート商品を扱っているECサイトであれば、訪問頻度が高いリピーターの存在が重要になるので、リピーターの割合である「再訪問率」や「訪問頻度」などが大事な指標となる。

ということで、ECサイトにおける売上を分解していった全体像は次のようになるだろう。

ECサイトのレポート指標を抽出するための分解の一例

図5 ECサイトのレポート指標を抽出するための分解の一例

さてここまでできたら、あとは誰に対するレポートなのかによって、見せ方と細かさが変わってくるだけだ。これはWebサイトのレポートに限ったことではなく、通常のビジネスにおける経営(業績)管理の方法と同じだ。

マネジメント層向け月例レポート指標

マネジメント層向けのレポートには、「全体での売上」と「利益が出ているのか」という2つの視点と、「中長期でそれがよくなっているのか悪くなりそうか」ということが把握できる指標があれば十分だ。それさえ把握できれば、部下への指示が出せる。もちろん、サイトによって課題が異なると思われるので、一部は違う指標が必要になる場合もあろう。

下にレポート項目の一例を示した。頻度は最低でも月1回。できれば、それぞれの項目に、目標数値と実績対比(前月対比や前年同月対比)、今月の施策と結果などのコメントを付ければ申し分ない。目標未達であれば、改善策を盛り込んで報告すべきだ。

マネジメント層向け月例レポート指標の例
  • サイトによる売上
  • サイトによる利益
  • サイト全体の訪問者数、訪問回数
  • サイト全体の購入(コンバージョン)率
  • 平均購入額(売上÷購入回数)
  • サイト全体の直帰率
  • 新規訪問者数とリピート訪問者数の割合
  • 新規訪問者とリピート訪問者の売上割合

現場向けのレポート項目

現場向けレポートには、短期あるいは中期で具体的に改善施策を迅速にとることができるように、よりセグメントを切った指標を掲載しておく必要がある。それがマネジメント層向けとは異なる部分だ。もちろんサイト全体の動向も必要になるので、マネジメント層向けの項目もあわせて数字を見ておく必要がある。こちらも、サイトの事情によって違う視点で見る必要な場合もあろう。

下に一例を示した。頻度は場合によっては毎日見なければならない指標もあろう。月次、週次のレポートなら、目標と実績対比(前月対比や前年同月対比)、今月(週)の施策と結果などのコメントを、担当分野別に付ければ申し分ない。目標未達の担当分野があれば、それぞれの反省点や改善策を盛り込んでおく。こうすることでノウハウを継承していこう。

現場向けのレポート項目の例
  • 集客施策別の流入数、直帰率、購入率、売上
  • 商品・カテゴリー別の閲覧割合、購入率、売上
  • 新規訪問者/リピート訪問者別の流入数、直帰率、購入率、売上
  • 特集ページ(など主要ページ)の直帰率
  • カートからの購入率
  • 訪問間隔の長いリピーターの割合

これらはあくまで一般論であり、細部はそれぞれのサイトの特性や規模、成長のステージによって変化する。ここでは基本的な考え方を学び、これらの例を発展させて自社サイトに応用してほしい。

※Web担当者Forum参照